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  • v081 メタボリックな人々/愉快な札幌13:コーヒーに

    ■メタボリックな人々

    北海道大学
    北海道大学内 学術交流会館2F大講堂にて撮影

    昨年の秋、新聞の折り込みでちょっと変わったチラシがありました。

    「札幌ライフスタイルスタディ(第二期)参加者募集」

    B4の両面(カラー)で、“15級・行間25歯送りの中明朝体”の文字で埋め尽くされ(要は文字だらけの新聞みたいなチラシ)、最後に目立たない形で“北海道大学・大学院教育研究科・健康科学”とありました。

    読んでみると、日本人の死因のトップは生活習慣病で、症状が出た時にはすでに手遅れであり、そういう人間が増えているとか書かれています。そして、健康づくりを支援します、参加費は無料です、ということで裏面へ…。
    裏面には「研究の方法」「研究の計画」「第一期の報告」があって、「連絡先」となっていました。

    簡単に言えば、メタボリックな人々を集めて、生活指導をしないA群、するB群に振り分け、2年かけて発病などの確率や健康状態をチェックし、将来の人類の健康に役立てるというものでした。

    曲解すると、人体実験に参加することで、無料で健康診断が2年間定期的に受けられ、うまくすると生活指導・運動指導まで受けられる、ってものでした。(苦笑)
    これはおいしい企画だ。

    参加資格は
    ●35歳以上~70歳未満(クリア)
    ●BMI25以上(やや肥満以上であること)(クリア)(泣)
    もしくは腹囲が男85cm・女80cm以上であること(クリア)(泣)
    ●除外規定:すでに狭心症など生活習慣病が発症している人など(問題なし)

    面白そうなのでさっそく夫婦でメールで応募(11/29)。すると数日後に、その説明会への招待状が送られてきました。
    説明会は12月2日(土)AM10:30~11:30。(上の写真)

    教授が出てきて、マイクでゴニョゴニョとしゃべり出しました。この実験が必ず将来の役に立つということを強調していました。超高齢化社会で医療費負担が高額化していく中、病気にならなければいいのだという意識もあるようでした。説明文書やチラシをよく見ると、文部科学省が研究費を補助しているようで、ひとつの疑問が湧いてきました。

    「文部科学省ってことは、これは札幌以外でもやっているのだろうか」と。

    質問タイムに入り、どうしても確認したくなり、普段では絶対手を挙げることがない私が質問をしていました。300名を越える人前で…。

    「これは札幌以外でもやっているのですか」
    「すいませんね、札幌近辺の人しか参加できないですね。
    上川とか名寄とかちょっと遠いと参加は難しいですね」
    「(何小さいこと言ってんだ)いやそうじゃなくて…
    札幌以外の自治体とか、他の大学でも同時に行われているのですか」
    「いや、それは、どうなんだろ、えーと」
    「(なんなんだよもう~)北大の独自の企画なんですか」
    「あ、そうですそうです。日本でここだけだと思います。ここだけです」

    教授、私は人前が苦手なんだから、切れる頭で素早く意図を汲み取ってくださいよぉ。なんて思いつつ、これは北海道独自の人体実験いや研究であることが確認できました。

    その後、参加資格確認のための健康診断に参加(12/17)。無事、自分が肥満であることが確認されました(泣)。そして、私はいったい「A群」なのか「B群」なのかは、現在返事待ちというところです。大学側が任意に決めることになっています。

    いずれまたこの続きをお知らせします。
    お楽しみにっ。

    札幌のダジャレ的世界の発見 改め、回数は引き継いで
    ■第13回 愉快な札幌大発見

    喫茶店

    さてさて、この喫茶店名どうでしょう。「珈琲 マリーム」。マリームってあのコーヒーに入れる粉状のミルクのことでは…。そんなことないか、喫茶店ですもんね。
    入る勇気はまだありません。近所です。


  • v038 なまずし

    ■なまずし

    特急車内モニタ
    札幌と実家のある北見を結ぶ「汽車」と「バス」には共に車内にモニターがあり、映画を観たり、眠ったりして移動します。窓の外には時々、野生の鹿などが見られます。
    5時間ほどかかりますがそれほど苦痛はありません。

    北海道だけかなと思いますが、にぎり寿司のことを「生寿司」(なまずし)と言います。生まれてから高卒までの18年間、にぎり寿司の正式名称を「なまずし」だと思って生きていました。

    東京に出てからしばらくは寿司そのものが食える状況ではなかったので、幸い「なまずし」という言葉を使う機会がありませんでした。そうしてしばらく暮らしていると、周りで「なまずし」という言葉を使っていないことにぼんやりと気付いてきます。そしてなぜか「なまずし」という言葉を口にしなくなりました。

    10年もすると、「昔、にぎり寿司のことを“なまずし”と言っていたような気がするが、気のせいだったろうか…」と、そう言っていたことすら忘れかけていました。本当です。「確か“なまずし”って言ってたような…」という感覚です。

    さて、実は今、母が入院しています。もう2か月になります。1か月間は集中治療室に入っていました。脳の働きを薬で止め、心臓を止め、人工呼吸器で生きていました。

    人間の親指くらいの大きな腫瘍が脳内にできていることを偶然検査で発見し、大事が起こる前に取り去る手術をしたのです。手術は13時間かかり成功しました。ところがやはり腫瘍が想像以上に大きかったので傷が大きく、脳が腫れて脳全体を圧迫し始めました。まさに想定外。それで緊急に脳の働きを止め、休ませる、という措置をとったというのです。

    それから、徐々に回復してきました。意識が戻ってからは、まず左半身が動かず、薬が効いているせいか、目の前の人が誰かもわからず、言葉もしゃべれない状態が続きました。それから少ししゃべれるようになり、少しずつ記憶が戻ってきました。体はもう筋肉が落ちてガリガリなんですが、冷たく動かなかった左半身も動き始めました。リハビリがうまくできそうなのでひと安心です。

    さて、かろうじて言葉が出るようになったころの話。目線はまだ宙をさまよっている感じで、元に戻らないんじゃないのかと心配になっている時、突然こう言いました。

    「はらへった」

    おもろいこと言うじゃないですか。まあ、チューブからの栄養剤だけで生きていたわけですから、何か食べたいという気持ちはわかりました。でもおもろすぎる。そこで私は「何が食べたい?」と聞いてみました。すると即答でこう言いました。

    「なまずし」

    またまたおもろいことを。いや、でもそうなんですよ。今でこそ100円だったりしますが、昔、食べたいものといえば、私も「なまずし」でしたし、やっぱり高級品でありました。100円じゃなく高級な寿司を食わせてやりますよ。

    しかし母がグルメに目覚めてなくて良かった。
    「フォアグラのなんとか」とか「キャビアのなんたら」なんて言われたら…。
    でもそんときは私はきっとこう答えるでしょう。

    「なまずしにしなさい」と。