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  • v257 ダジャレの世界

    ■ダジャレの世界

    試作
    10月21日の試作

    しかしまー正直なところ、自分、絵が描けていることに驚いているこの3~4か月なのです。↑このイラストはまだぎこちない感じがしますが。

    10月12日に猫水彩のスタンプがひと通り完成すると、次のスタンプの準備に取りかかりました。(おまえはヒマかっ)(え、はい)
    猫水彩の時は流れと勢いで、描けて嬉しくなって進めていました。実は毎年、秋口に集中力が増し、これを過ぎると様々やる気がなくなっていくのです。(ここ数年の傾向)
    だから気持ちが張っている今のうちに出来ることはどんどんやるしかない。この時期を過ぎるとぐうたらな人間になっていく。春には腐った死体ですよ。

    まず、すでに販売されているいろいろなスタンプを眺めていました。
    ま、数時間ですけどね。研究、分析ですね。(てーほどでもない)

    それで、スタンプとは、「努力」と「好み」と「運」である、と思いました。
    キャラクターが上手かろうがヘタだろうが、売れるものは売れる。誰かのツボにハマれば良い。でもそんなものは計算できない。
    だっていかにも変すぎるスタンプが売れてたりする。なんで???と思う。バッチリ好感できる万人受けしそうなスタンプが売れてない。売れてるのもある。

    野球で、右投手の時に、左の代打を送り込めばヒットの確率が高くなる、なんていうのは状況や選手の力量を無視した非科学的な宗教であって、おまじないみたいなもの。あるいは失敗した時の言い訳づくり。

    研究はある程度は必要だけれど、そんなに計算通りにはいかないのですよ多分。自分の限界もありますし。好きなようにしかできない。

    スタンプとして使いやすいか、使える場面があるか、というのも大事だけれど、意味不明のスタンプも実は面白く、どんなものであっても使えないということはない。(あまりひどいとリジェクトされるらしいけど)

    キャラクターなら猫や兎が売れる。タレントは人気で売れる。そういうのはある。でも猫だから売れるということではないし、自分はタレントでもない。

    ということで、研究の意味もなくなる「自分に出来るものしか出来ない」というぐうたらな結論を出しました。

    よし、一回ダジャレで笑おう。(急にっ!?)

    そうして試作してみたのが上の最初の画像。
    しかも水彩ではない。理由があって、スタンプの背景は透明で作らないといけなくて、水彩は背景との境界線が曖昧なものがあり、データ作りに手間がかかる。イラストレーターのベジェ曲線で描けば、割合簡単にスタンプデータが出来るのです。だんだんぐうたら感が出て来ていますね。ラクをしようという。

    で、ダジャレスタンプの分類としては2つ。

    生物系のダジャレ
    鯉が「ちょっとコイ」と言っている。
    馬が「うまっ」と美味しそうにしている。
    40個くらいは簡単に出せそうだ。

    歴史的人物や偉人のダジャレ
    バッハがバッハバッハと咳をしている。
    ゴッホがゴッホゴッホと咳をしている。
    これ1回やってみたかった。でも40個も出る? 出ないよね。

    偉人40個は無理っぽい。生物なら困れば「虫」を混ぜても良いし、簡単だろうとトライしました。(調べてみるとダジャレスタンプは結構多かった)
    案はサクサク出ます。ところが、とりあえず作ってみたものが、どうしても絵が好きになれない。他の人とのダジャレかぶりで、絵の勝負で負けそう。(好き嫌いの問題なら気にしなくてもいいんですけど、自分が嫌いってなるとモチベーション下がりまくり)
    他のクリエイターの作品はもっとラフで力の抜けた作品が目立ち、それは使いやすいし面白い気がした。自分のヤツは肩に力が入り過ぎているという自覚。タッチを意のままに変えられるほどの力はなく、イメージチェンジがすごく難しい。
    イヤだけどその試作がこれ。

    動物ダジャレの試作
    説明できないのですが、嫌いなのですこのイラスト
    最初の試作の「ちょっとコイ」と「うまっ」は悪くないと思ったのに

    1個でも買いたくなるものがあれば、40個セットで100円だから、売れてくれる確率は上がるとは思う。でもこれはなんかイヤ。自分が好きになれない。素人が無理してるような感じかなぁ、うーんイヤだイヤだ。(笑)
    じゃあ偉人でやってみよう、誰もやってない気もするし。
    40個は厳しいと思うけど。しかも人物(似顔絵)って苦手。でもダメで元々。

    不安ながらもまずはダジャレ案を考えまくりです。
    「もうネロ」「なんのマネだ」「おせちもいいけどカレー“モネ”」「困っターナー」「食うかい(空海)」・・・うーんうーん・・・
    40個も出るのかいっ。またまた高いハードルに困惑。とにかく案を出す。

    布団に入ってから思いついてはメモを取る日が続きました。ネットで調べるのは卑怯くさいと思ってやってませんでしたが、ちょっと煮詰まった時に調べちゃいました。そしたら、ろくなもんがない。全然参考にならなくてちょっとホッとしたくらい。

    「やっぱり無理か」

    と言いつつ作っていった試作が悪くなかった。

    偉人ダジャレスタンプ試作
    おいおい、えーじゃないかー 線が出てるよー
    自分が描いたとは思えんなぁ

    なんか自慢みたいですいませんね。自分でも意外なんです。まあ、生活もかかっているということでひとつ。我が家は限界集落ですから。(意味不明)

    これ1日3~4個描くのがやっとでしたが、慣れて来たら最後は9個も描けてしまって、しかもダジャレ案が出るわ出るわ。10月31日には40個のスタンプができてしまいました。

    見直し、修正、破棄、追加、いろいろあって11月5日(水)早朝
    「偉人ダジャレの世界」申請完了。

    10月12日に発生した猫水彩スタンプ最後のIDは112958。それから24日目に申請したこの偉人ダジャレの世界スタンプのナンバーは129799。1万6841セット増えている。

    1日当たり約702作品が申請されていることになります。
    その前の8日間は1日当たり567だったので、世の中はさらにヒートアップしていることになります。ヒートアップなのか貧困アップなのか知りませんけどね。みんな必死です。

    そんな中、どうかどうか、一発で承認されますように。
    うまい酒が飲めますように。

    ということで、1枚のハガキから始まった一連の流れでした。
    ここに書けなかったことも含め、いろんな偶然の世界でした。
    とは言っても、誰でもいつでも、全部がつながって動いているんでしょうね。

    研究所通信史上初の7日間連続発行でした。
    おしまい。(と見せかけて・・・)


  • v254 はがれるウロコ

    ■はがれるウロコ

    猫のデカの絵
    わかったんです。この描き方は良くないんです。

    またまた前回からの続きです。
    白の絵の具のナゾが解ける前のこと。絵がなんとなく描けちゃうものだから、早く数を揃えたくて、こー(両手をパーで親指を上に目の当たりから前に出す)なって、どんどん描いてしまっていました。

    描き溜めた猫の絵を使って、仕上りの感じをつかむため、いくつかのスタンプを試作してみました。絵とセリフのマッチングは結構難しく、かなり悩んで、何度もやり直し。

    試作スタンプ
    試作スタンプ
    試作スタンプ
    特にこの「ふーん」の絵を見ていたら、ふと、
    「やけに油絵っぽいな」
    と思いました。全部そうなんですが、白を盛るように使っている。これでは白が減るわけだ。

    何かが間違っている。と今更ながらに、水彩画の描き方の動画を探しました。世の中には親切な人がたくさんいるんですね。わかりやすく解説をしながら、実際に作品を描いていく動画を10本以上見ました。3時間くらい。ひたすらじーっと見ました。

    目からウロコが落ちて、部屋はウロコだらけになりました。(ウソ)
    夕方から見ていたので気がつくと真っ暗で、薄気味悪い人になってました。(ホント)

    なぜ白い絵の具が減っていったのか―
    水彩は白で重ねても白くならないからでした。修正のために白を使ってもなかなか白くならず、無理矢理白を重ねて使っていた。
    水をたっぷり使わずに、白と混ぜて作った色を使って描いていた。
    さらに、白い猫の輪郭を白で描こうとすると、白を盛るように使っていた。
    全部大間違いなのでした。なるほど油絵っぽくなるわけです。
    (ていうか水彩っぽくない)

    そして色を重ねるほど濁っていく。
    書き加えるほどに鮮やかさが消えて行くのです。

    水彩の極意
    「白い部分は紙の白を活かす」(ウロコがポロリ)
    「いくら重ねても明るくならない」(ポロリ)
    「明るい部分から描く」
    「人間の脳が補正してくれるから、細かい部分は描かずに極力省く」(ポロリ)

    まるで水墨画のような世界でありました。描き込まず、間で表現してしまうのです。
    「えー、ちょっとちょっと、それで終わりなの」
    「おー、ちゃんと見えるもんなんだな」

    で、薄いんです。色が。めちゃ水使ってバチャバチャ。それがなんだかそれっぽく見えてくるという、匠(たくみ)の世界でした。
    「ここはね、こんなもんで良いんですよ」
    「描かない。描いちゃダメですよ。簡単でしょ」
    「サーッと、ホラ、これでね、十分なんです」
    水彩の師匠は涼しい顔で描いていました。
    「わー、本当だ、簡単じゃねーか。・・・なわけないだろ」
    と思いながら、どことなくコツはわかりました。

    描いちゃダメなんです。描いちゃ。
    虫さされと同じ、掻いちゃダメ。(歳とって増々おやじGAG)

    ということで実践!!

    ビフォーアフター
    左:始めた頃(ふんだんに白を使っている)  右:改めて描いた(白は使ってない)

    白はできるだけ使わず、紙の色を活かす。
    白は紙の色を活かす。白は紙の色を活かす。白は紙の色を活かす。
    と念じて描きます。

    猫水彩画
    ほとんど白は使っていません

    それじゃあと、白くないクロちゃんにトライしてたら、なんかうまく描けません。その時に、取り返しのつかない状況になりました。黒くし過ぎて濃淡が付けられない。
    「真っ黒になっちゃった。失敗失敗」
    水彩は薄くはできない。こりゃダメだ、と、あきらめ半分で黒く塗り過ぎたところに水だけ付けた筆で黒を拭い取ってみたら、筆が絵の具を吸い取って色が取れてきました。
    「なんちゅう卑劣なやり方だ、こんな描き方していいのか」
    「おおおおおお、これは修正が効く、卑怯くさいぜ」
    これを「姑息な引き算技法」と名付けました。ワタスが開発しますた。(ゲラゲラ)

    猫水彩画

    そして茶~ぶーにトライ。茶~ぶーは長毛なのですごく難しいんです。まあとにかく動画の成果を出すべく、白は使わずに、光の加減を見て描くのでした。

    猫水彩画
    これ白をまったく使っていません

    この白を極力使わない「当たり前の水彩の描き方」を始めた時にはすでに40個近い絵が出来ていたこともあって、スタンプのほとんどが「何も知らずにヘラヘラと白を使いまくって描いた絵」を使うことになりました。というのも、なんか描けてるし、せっかく描いたヤツで使えるなら、白がどうのこうのというのもアレかなと、いう感じがしまして…。
    (というか実際、集中力が必要で、2個3個描くだけで結構疲れる。また1か月はかかってしまう)

    ふと、何となくひと息ついた私の目の前には、買い足した大きめのチューブが3本転がっていました。そしてその3本のチューブが口を揃えてこう言いました。
    「ちゃんと使えよ」と。

    白の絵の具
    アタマも真っ白に

    オチがバッチリ決まりましたけど、まだ終わりじゃないですよ。

    小学生からの衝撃のハガキが届いてから、猫水彩が始まり、半月でスタンプの話が来て、それから約1か月経過していました。スタンプにするには「セリフ」を入れて42個(実質は40個)を完成させないといけません。

    この話を持ちかけてくれた人に見せたところ、外国人に受けるような気がすると言い、英語版とスペイン語版も作ろうということになりました。
    120個のスタンプを作ることになります。
    いったいいつ完成するのでしょうか。
    しかもまだスマホのIDが取得できるかどうかもわからないのです。

    つづく。