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  • v254 はがれるウロコ

    ■はがれるウロコ

    猫のデカの絵
    わかったんです。この描き方は良くないんです。

    またまた前回からの続きです。
    白の絵の具のナゾが解ける前のこと。絵がなんとなく描けちゃうものだから、早く数を揃えたくて、こー(両手をパーで親指を上に目の当たりから前に出す)なって、どんどん描いてしまっていました。

    描き溜めた猫の絵を使って、仕上りの感じをつかむため、いくつかのスタンプを試作してみました。絵とセリフのマッチングは結構難しく、かなり悩んで、何度もやり直し。

    試作スタンプ
    試作スタンプ
    試作スタンプ
    特にこの「ふーん」の絵を見ていたら、ふと、
    「やけに油絵っぽいな」
    と思いました。全部そうなんですが、白を盛るように使っている。これでは白が減るわけだ。

    何かが間違っている。と今更ながらに、水彩画の描き方の動画を探しました。世の中には親切な人がたくさんいるんですね。わかりやすく解説をしながら、実際に作品を描いていく動画を10本以上見ました。3時間くらい。ひたすらじーっと見ました。

    目からウロコが落ちて、部屋はウロコだらけになりました。(ウソ)
    夕方から見ていたので気がつくと真っ暗で、薄気味悪い人になってました。(ホント)

    なぜ白い絵の具が減っていったのか―
    水彩は白で重ねても白くならないからでした。修正のために白を使ってもなかなか白くならず、無理矢理白を重ねて使っていた。
    水をたっぷり使わずに、白と混ぜて作った色を使って描いていた。
    さらに、白い猫の輪郭を白で描こうとすると、白を盛るように使っていた。
    全部大間違いなのでした。なるほど油絵っぽくなるわけです。
    (ていうか水彩っぽくない)

    そして色を重ねるほど濁っていく。
    書き加えるほどに鮮やかさが消えて行くのです。

    水彩の極意
    「白い部分は紙の白を活かす」(ウロコがポロリ)
    「いくら重ねても明るくならない」(ポロリ)
    「明るい部分から描く」
    「人間の脳が補正してくれるから、細かい部分は描かずに極力省く」(ポロリ)

    まるで水墨画のような世界でありました。描き込まず、間で表現してしまうのです。
    「えー、ちょっとちょっと、それで終わりなの」
    「おー、ちゃんと見えるもんなんだな」

    で、薄いんです。色が。めちゃ水使ってバチャバチャ。それがなんだかそれっぽく見えてくるという、匠(たくみ)の世界でした。
    「ここはね、こんなもんで良いんですよ」
    「描かない。描いちゃダメですよ。簡単でしょ」
    「サーッと、ホラ、これでね、十分なんです」
    水彩の師匠は涼しい顔で描いていました。
    「わー、本当だ、簡単じゃねーか。・・・なわけないだろ」
    と思いながら、どことなくコツはわかりました。

    描いちゃダメなんです。描いちゃ。
    虫さされと同じ、掻いちゃダメ。(歳とって増々おやじGAG)

    ということで実践!!

    ビフォーアフター
    左:始めた頃(ふんだんに白を使っている)  右:改めて描いた(白は使ってない)

    白はできるだけ使わず、紙の色を活かす。
    白は紙の色を活かす。白は紙の色を活かす。白は紙の色を活かす。
    と念じて描きます。

    猫水彩画
    ほとんど白は使っていません

    それじゃあと、白くないクロちゃんにトライしてたら、なんかうまく描けません。その時に、取り返しのつかない状況になりました。黒くし過ぎて濃淡が付けられない。
    「真っ黒になっちゃった。失敗失敗」
    水彩は薄くはできない。こりゃダメだ、と、あきらめ半分で黒く塗り過ぎたところに水だけ付けた筆で黒を拭い取ってみたら、筆が絵の具を吸い取って色が取れてきました。
    「なんちゅう卑劣なやり方だ、こんな描き方していいのか」
    「おおおおおお、これは修正が効く、卑怯くさいぜ」
    これを「姑息な引き算技法」と名付けました。ワタスが開発しますた。(ゲラゲラ)

    猫水彩画

    そして茶~ぶーにトライ。茶~ぶーは長毛なのですごく難しいんです。まあとにかく動画の成果を出すべく、白は使わずに、光の加減を見て描くのでした。

    猫水彩画
    これ白をまったく使っていません

    この白を極力使わない「当たり前の水彩の描き方」を始めた時にはすでに40個近い絵が出来ていたこともあって、スタンプのほとんどが「何も知らずにヘラヘラと白を使いまくって描いた絵」を使うことになりました。というのも、なんか描けてるし、せっかく描いたヤツで使えるなら、白がどうのこうのというのもアレかなと、いう感じがしまして…。
    (というか実際、集中力が必要で、2個3個描くだけで結構疲れる。また1か月はかかってしまう)

    ふと、何となくひと息ついた私の目の前には、買い足した大きめのチューブが3本転がっていました。そしてその3本のチューブが口を揃えてこう言いました。
    「ちゃんと使えよ」と。

    白の絵の具
    アタマも真っ白に

    オチがバッチリ決まりましたけど、まだ終わりじゃないですよ。

    小学生からの衝撃のハガキが届いてから、猫水彩が始まり、半月でスタンプの話が来て、それから約1か月経過していました。スタンプにするには「セリフ」を入れて42個(実質は40個)を完成させないといけません。

    この話を持ちかけてくれた人に見せたところ、外国人に受けるような気がすると言い、英語版とスペイン語版も作ろうということになりました。
    120個のスタンプを作ることになります。
    いったいいつ完成するのでしょうか。
    しかもまだスマホのIDが取得できるかどうかもわからないのです。

    つづく。