v111 印と和と馬の融合/愉快な札幌41:カラス

■印と和と馬の融合

デリー
狸小路一丁目

ちょっとした用事で出かけた土曜日の昼食にカレーを食べました。この「デリー」というカレー屋さんは、24年前、とても気に入っていた銀座のカレー屋さんと同じ名前で、前から気になっていました。

銀座のデリーの店内はインド人だらけで、妙な高揚感に包まれたものです。
今もあるはずです。多分知っている人も多いと思います。超辛口のカシミールカレーは有名ですよね。レトルトの具なしのルーが販売されています。

今スープカレーが流行っていますが、本場のカレーはそもそもスープ状でバシャバシャです。カレーはごはんに全部かけ、ぐちゃぐちゃと混ぜてから食べるのがひとつの作法らしく、昔、別のインド人経営のカレー屋さんで、「こうやって食えっ」と指導されながら食べたことがあります。

何といいますか、本場モンは「カリー」と言って区別したりしてる世の中でございますが、「おーい、カリー食べにいこうぜ」とは口にし難く、私はすべて「カレー」で統一しています。これはどうでもいい話ですね。

さて、札幌のデリーの中へ入って驚いたのは、メニューにカシミールカレーがあり、まさにあのデリーの札幌店だったのです。よく見ると店内にあのレトルト商品が山と積まれていました。

店自体は小さくて4人がけのテーブルが3つだけでした。 インド人の姿はなく、やや高齢の夫婦と思える二人で経営しているようで、雰囲気はあのデリーとは全然違います。
でもちょっと感激しながらカシミールカレーを頼みました。

昔、初めてこのカシミールカレーを食べた時は、辛すぎて3口目で舌がしびれて、全部食べるのに苦労したものです。前日摂取したアルコールは一気に汗とともに消えてくれました。(以後、二日酔い対策カレーとなりました)
そのくらい強烈に辛かったのです。その時、店員のインド人は、私達はこれは辛いとも思いません、とスパイシーなことを言い放っていたのを思い出します。まさに人種が違うと思ったものです。

さて、久々にカシミールカレーを注文して待っている間、私は店内をキョロキョロ見回しておりました。木彫りの象のガネーシャがあったり、ヒンズー文字が書かれていたり、それなりにインド風の飾り付けがしてあります。その中にポツリポツリと2か所に中央競馬のカレンダーがありました。それは過去の悪夢を呼び起こすアイテムでありました。

「あ、ここの人競馬好きなんだな。必ず負けるのに…」

それに加えて、実は店に入った時から気になっていたことがありました。BGMです。細川たかしが“矢切の渡し” を小節をきかせ熱唱しまくっていました。その後も細川たかしが三味線とコロッコロの小節をきかせた歌声で、和のテイストを振りまきまくっておりました。

ガネーシャにまとわりつくド演歌のスパイス。印と和と馬の融合。(苦笑)

細川たかしは北海道人だから、店の人がファンなのかな、と思っていたらそれは誤解でした。なんとAMラジオでした。4~5曲、コマーシャルも無しに流れ続けていたため、CDだと思ってしまったのです。ド演歌はたまたまかかっていただけでした。

流れ続けたド演歌に、食べる前から汗が出てしまいましたが、汗が出ていた理由はそれだけじゃありませんでした。この日は30度近く(29.7度)まで上がり、店の冷房は扇風機だったので暑かったのです。ただ、耐えられないほどではなく、クーラーよりは体調は崩れにくいので、扇風機もオツなものでした。むしろクーラーなんかに頼っていたら、温暖化が進み、北海道も灼熱地獄になってしまいます。扇風機も厳密には電気を使うので、いっそのこと冷房機器は“風鈴のみ”でいいよ、とさえ思います。

ま、それはともかく、待ちに待ったカシミールカレーが出てきました。それは確かにあの味でした。しかし当時と違ったのは、私の舌の感覚でした。全然辛くなかったんです。

札幌に来てからはスープカレーを食べる機会が多く、ついつい激辛を頼んでしまいます。これがどの店も半端じゃなく辛いんです。こんなこともありました。

実際に体調が崩れた辛いスープカレーを食べた時、それは「100番中60番」という辛さであったのですが、店の人が私にこうささやきました。

「昨日、2008番を食べた方がいましたよ」
「100以上あるんですか。というか4ケタって…。大丈夫なんですか」
「味を損ねてませんので、美味しいと言って食されてました」
「ぎゃふん」

というわけで、カシミールカレーがまるで「甘口」に感じて、少しインド人に近づいた気分になった私でした。

PS
北海道人って、妙に忍耐強いというか、挑戦的というか、体を大事にしないというか、負けず嫌いが多いようで、多分みんなインド人化していると思われます。

 

■第41回 愉快な札幌大発見:頭上に注意・カラス子育て中

カラス子育て中

8月6日撮影。カラスが子育てしている時は、時々人間を襲います。そこで市民の皆さんへ「注意」を促していました。今まで見たことがなかったので新鮮でした。

ウチのすぐ近くです 。


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