v219 坊主と外道/北見発見伝:明言

■坊主と外道

チカ
チカ

勤労感謝の日。久しぶりに何の用事もなく、久しぶりの晴天ということで、ちょうどチカが釣れているという噂があり、50km先の能取(のとろ)湖へ向かいました。
オホーツク海とちょぴっと繋がっている湖です。

釣り糸に7つもの針が付いている竿を使います。針には赤っぽい色がついていて、疑似餌(ぎじえ)的な感じなので、気持ち悪い虫を付ける必要はありませんが、虫を付けた方が良く釣れるようです。
良く釣れるようにと、赤く着色されたウジ虫のような気持ち悪い虫を付けてチカ釣りを始めたのですが、2時間経っても1匹も釣れなかったのでした。釣り客は20組以上来ていましたが、誰も1匹も釣れていませんでした。

『このままでは坊主で終わってしまう』
(坊主とは1匹も釣れないことを言う釣り用語)

能取湖
釣り客がズラリ(11/23)
能取湖で釣り
寒いのでこんな風にして車で暖をとって待ちました

待てど暮らせど釣れないのでとっとと諦めて、急きょ、西側にあるサロマ湖を目指し出発しました。
25kmほど移動すると、富武士(とっぷし)という、一瞬「武富士かっ」みたいな名前の町の港がありました。北海道は変な地名が多いです。
釣り客は、6人ほどの家族らしい一組だけいて、港はガラーンとしていました。

地図
1が能取湖で、釣り場は赤丸のところ「卯原内」(うばらない)。
2がサロマ湖で、釣り場は赤丸のところ「富武士」(とっぷし)。
緑の丸は私の住まいのある北見。

地図では近く見えるのですが、実際に移動しているとやけに遠く感じます。道はうねってるようで長い直線道路が多く、ゲンナリする距離感なのでした。とは言え、快晴で、交通量が少ない気持ちいい道路でした。

富武士の港
漁港・富武士
富武士の港
奥の方にかすかに写っているのが、どこかの家族っぽい人々。

その家族っぽい人々は、時々キラキラ光る魚を釣り上げていました。だいぶ前から釣っていたのか、かなりの数を釣り上げた様子。
やっと釣れそうな雰囲気が高まる中、ついに、魚が食い付いたのでした。釣り上げるとそれはチカではありませんでした。

「なんじゃこりゃあ」

そのどことなく見覚えのある形は、何とサンマなのでありました。ちょうどチカと同じくらいの20~25cm程度の子どもサンマです。

「この外道がぁ」
(外道とは、狙いと違う魚が釣れることを言う釣り用語です)

しかし、外道というほど残念感は無く、むしろ良かったとさえ思いました。こういう時は“うれしい外道”などと言うそうです。

富武士で釣り
矢印の先には釣れたサンマが2匹。
富武士で釣り
カミさんまでもが次々にサンマを釣り上げる

釣れ始めると、気持ち悪い虫を付けるのもイヤで面倒なので、エサなしにしてみました。それでも次々と引っかかって来るので、思わず笑ってしまいました。
群れが時々回遊して来るのでしょう。釣れなくなるとピタリと止まり、釣れ始めるとどんどん釣れました。(エラやシッポに引っ掛かってたり)

私は釣りはあまり好きじゃありません。
釣りは、私にとってはひとつの訓練なのです。近い将来の様々な危機に備えて、ほんの少しでも食料自給するための訓練なのです。畑もそうです。でもどうせなら楽しみつつやろうというお話なのでした。

魚といえども、やはり殺す瞬間というのはイヤなもんです。できればすでに美味しそうに調理されているものを、ニコニコ笑って食べたいな。(苦笑)
というか、逆に命を食べる、その有り難みを感じ取れるので、釣りや猟は経験すべきかも知れません。そして無駄な殺生はいけないと感じます。

釣りは1時間ほどでやめました。小さいサンマなのでご近所にお裾分けするようなシロモノでもなく、食べ切れずに余って捨てるのは罪深い。あまり過剰に獲るのはいかがなものかと。

さんま
ていうか多いだろこれっ!! ピカピカの子さんま34匹

いや、まだまだ釣れそうだったんすよ。

さてここからは毎度の料理教室です。
この小さいサンマは脂が乗っていません。焼いて食べても身が少ない。そして34匹。これはっ、と思ったのは「なめろう」です。

子サンマは20匹ほど用意し、アタマを切り落とし、この新鮮なアタマは猫にやります。猫たちはフガフガ言ってめちゃめちゃ喜んで食べてくれます。キャットフード代が浮きますね。

次に、身を3枚に下ろします。中骨は無駄にせず、油で揚げてスナックにします。
身の小骨のある部分は落として捨てます。申し訳ないっ。
身の皮を剥ぎます。そして皮は捨てます。残念ですっ。

身をざく切りにして、さらに細かく切って塊にしていきます。そこにあらかじめ用意しておいた「A」を混ぜ込んでいきます。

A:しょうがのみじん切り、ネギのみじん切り、シソのみじん切り、味噌、それぞれ適宜

2本の包丁で叩くようにして混ぜ込みながら練り物のようになるまで叩き切ります。ドラムを叩くようにドコドコドコドコドコっと。

結果こうなりました。

さんまのなめろう
子サンマ約20匹分。

見た目はともかく、これが新鮮なだけに抜群に美味いのでした。脂が乗ってないのも良かったようで、ベタベタ感がなくて、もちもちして、あらかじめ用意しておいた日本酒にピッタリ。

ついでに数匹、焼き魚にしてみました。

焼きさんま
焼き子サンマ

いやー、写真撮る前に食べてしもうた。(笑)
さすがにパサパサして美味しくはなかったですが、マズいわけではなく、一応食べることが出来て良かったです。
それから煮物にもしました。保存食として油漬け(オイルサンマー)も作りました。どちらも小骨が少し邪魔ながらも、一応美味しく出来ました。でもやっぱ「なめろう」が最高でした。

外道に感謝。

 

■北見発見伝:明言

言葉というものは、「~かも」とか「~のはず」とか言うより、キッパリと「です」「ます」と言う方が気持ちいいですよね。そんな看板があります。

します

断言していますね。

で、何を・・・。


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