■蕎麦と温泉と高齢化
50を過ぎて随分年月が経ちました。
最近、昔はあまり好きでもなかった「温泉」と「蕎麦」に目覚めたような気がするのです。根拠はないけれど、高齢化すると「温泉好き」や「蕎麦好き」が増えるような気がしませんか。客観的に自分、もう高齢者なのかも知れぬ。(口調も高齢化)
温泉は露天が必須です。
温(ぬる)めのお湯に浸かって、外気に触れて、ゆるゆるダラダラしてるのがいい。厳冬の頭寒足熱もなかなかのものです。
北海道の温泉は有名なところでも客でギュウギュウなところはほとんどないです。2時間も入っていれば必ず長い貸し切り状態を楽しめます。広い露天の浴槽で、プカプカと浮かび、ぐうたらできます。やっぱりお年寄りになっちゃったんですかねぇ。しみじみ。
さてさて。
問題は蕎麦なのです。本題は蕎麦に関する悩みです。
なぜか蕎麦を食べたいと思う事が増えました。
蕎麦は美味いと思います。何て言うか、あのボソボソした麺。(笑)
麺の太さの違いからくる食感。一流の職人は、太さをわざと変えるとか言いますよね。知らんけど。
ということは超正確にカットできる麺職人の麺は美味しさ半減なわけですよ。でもどんなに正確に切っても同じものは2つとないのがこの世の定理であるからして、機械で切っても美味いわけですが、人が切ればもっと美味い…どうでもいい話になった。
本題へ行く前に、ここ数年で美味しかったなぁと思ったトップ3を発表します。全部が1位です。ひとつは「置戸町勝山の細い蕎麦屋“ほたる”」。やっぱり珍しいような気がする。あの細さ。そして「“三国峠カフェ”のぶっとい蕎麦」。それから「津別町の道の駅の蕎麦屋“相生物産館”」さん。
麺の太さが極細、極太、普通、ということで自分のトップ3です。これからまた発見すると思うので暫定です。
さて本題に入ります。
実は、蕎麦のうまみというものが、よく分からんとです。(えーっ!!)
えーっ、何言ってんの、ってなもんですが、よく「すすると蕎麦の香りふわっとする」と言いますよね。その「蕎麦の香り」とやらがよく分からんのです。蕎麦本来のうまみを味わうために、まずは、つゆに付けずにそのままひと口すする、などということを聞きます。
最近、仁頃の幻の蕎麦屋(文末に写真あり)で、試しにそれやってみました。
「ずるずる。んー。こりゃいい歯ごたえ。美味いっ」
しかし、つゆも付けずに自分は何をもって美味いと言っているのか…。
『蕎麦の香り? 香りって何だっ。分からんぞ』
『これ、本当にふわっと香っているのか?』
『本格的でありながら、やっぱり香りなど感じないっ』
つゆに付けずに食べ続ければ、けっして美味いものではない。そうでしょう。麺だけ食べ続けるなんてちょっと考えられない。
腰があるとか、のどごしがいいとか、それは分かるのですが、でも香りってなんだろう。ふわっと香る? いえいえ、決してそんなことはありませんよ。ね。(不安)
蕎麦の麺の特徴といえば「ボソボソしている」ところ。「ボソボソ」と言ってしまうと美味そうに感じないし、ツルツルかな、いやツルツルじゃねーわっ。
ボソボソはのどごしに通じるのかな。
どの店も、穫れたての蕎麦の実を石臼やらで挽いて、10割とか手打ちとか、こだわり抜いて作っています。
本格的な蕎麦のうまみとは何だ。色かっ、色がうまみかっ、違うかっ!!
香りなのか、本当に香りがうまみなのかっ、その香りとやらは分かんぞっ。
乾麺の蕎麦を自宅で作ったものと、本格的な店の蕎麦では確かに味わいは全然違うような気がする。気がするだけなのかっ。
職人の風貌かっ。あの雰囲気に飲まれているのかっ。
なぜ高齢化すると、蕎麦を食べたくなるのかっ。
ひょっとして、胃にもたれないからか。カロリーが低いからか。
お年寄りは代謝が低まっているから低カロリーが美味く感じるのかっ。
店構え、職人の風貌、色、器、視覚効果が生み出す旨味なのかっ。
感じない香りとは何なのかっ。
悩みは尽きないのでありました。
ある説では、日本人だから、ではないかと。
なぜなら外国人が高齢化したからといって蕎麦を食べたいとは思わないのではないか。温泉にしても、シャワーの文化であるし、蕎麦好きも温泉好きも日本人のDNAに組み込まれている先天的なものではないだろうか、という説。
まことしやかではある。
そばの香りもよく分かっていないのに、美味い蕎麦屋さんのランク付けさえしてしまう私なのでした。おしまい。