v042 つくしの季節、つくしを食らう

■つくしの季節、つくしを食らう

つくし

つくしが食べ物であることを知ったのはちょうど1年前、空き地や公園でつくしがたくさん生えているのを見て、妻が言った「衝撃のひと言」でした。

「食えるのにもったいない…」

そこまで貧乏に育てた覚えはないっ、と思いつつ、つくしが食えるということについては半ばデタラメであろうと思いました。食って食えない事はない、という程度のことであろう、と。
で、つくしを手で触ってみた時、カサカサしてやっぱり食いもんじゃないと思ったのでした。どう見ても美味しくなさそうです。毒キノコをカサカサにしたような、マズそうなつくし。タンポポのクキの方がまだおいしそうに見えるつくし。

「こんなものは食えんよ、へーらへーら」

よほど悔しかったのか、 その後、つくしの料理を妻の実家から送ってもらうことになりました。去年の話ですよ。
やや黒っぽくなったそれは確かにつくしの形をしておりました。そして恐る恐る食べてみたところ、これがごはんのおかずにぴったりの、実にうまい「食べ物」であったのです。

北海道ではつくしは食べ物と認識されてはおりません。だからつくしは生え放題で、あっちこっちにいっぱいあります。札幌と言えども、公園は広いし山も近いので採ろうと思えばいくらでもあります。

そんなわけで 今年は自分たちで料理してみる事にしました。

ある公園に向かって歩いていると、見事なつくしがニョキニョキと道端に生えていました。まるでつくし畑。つくし平野とでも言いましょうか。狂喜乱舞です。野菜畑から野菜を好きなだけ盗むようなものです。そこいらの人間たちにとって雑草でしかないつくしは、採っても採っても罪悪感がありません。脳内快楽伝達物質ドーパミンが出まくりでした。

つくしの頭が青くてやや不気味に思えても、青い方がむしろいいくらいで、成長して開き切った感じのものはあまり良くないようです。

ではつくしの調理方法をお教えしましょう。まず「はかま」を取ります。

↑調子に乗ってどっさり採りました。 1本1本ひとつひとつ「はかま」を取ります。↑

 

↑はかまを取るとちょっときれいになり、取ったはかまはこんなになりました。↑
はかま取りは2人で1時間半かかりました。はかまは捨てます。

 

手は汚れます。でも、虫などもついてなくて気持ち悪いということはありませんでした。手慣れてしまったので、道端に生えているつくしを見たら、意味もなくはかまを取ってしまうかも知れません。
さて、裸になったつくしをよーーーく水洗いします。さっとゆがいて一晩水につけるという説もありますが、うちではよく洗って速攻で炒めることにしました。

↑猫は食べ物と認識。んで、はかまを取ったつくしを油で炒めたもの。↑
ちょっといい色になります。

 

ボールいっぱいになりました。それを煮立った「だし」に入れます。

 

ボールいっぱいになったとは言え、実際はものすごく採ったので、もっと量が多いと思いました。かなり縮んでしまいます。
だしは「かつお昆布だし」を使いました。そこにつくしを入れ煮込みながら「砂糖」を入れ、「みりん」を入れて甘みを、そして「酒」「しょう油」で味付け終了。とっても簡単です。炒めるとき、ごま油を使うともっといい味になりそうです。
いわゆるつくだ煮って言うんですかね。調味料の分量は「全部適宜」です。(笑)

忍び寄る猫。最後に「盛りつけ」して食べます。
時間が経つと味がしみてもっと色が濃くなっていきます。

 

ちゃんと「つくし」の味がします。 春の味がします。つくしの料理が流行らないのは、多分、はかまを取る作業が機械ではできず、人間がやっても効率が悪いからではないかと思います。たくさん作ったつもりでも縮んでしまうのでちょっとしかできません。そこらじゅうに生えるので価値もなさそうに見え、手がかかれば高くなる。誰も買いませんよね。きっと。


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